4割以上の会計システム担当者が消費税など税制改正への対応に不安を感じる
消費税改正および軽減税率制度の実施が半年後に迫っているが、各企業において、その周知および対応準備は、どの程度進んでいるのだろうか。財務・会計システムおよび経営情報サービスを開発・販売する株式会社ミロク情報サービスは4月、大手企業のIT部門の役職者を中心としたビジネスパーソン473名(うち情報システム関連職220名)を対象に実施した「消費税など税制改正に関する対応についてのアンケート」のレポートを発表した。
最初に、2019年10月に施行予定の消費税法の改正に対する準備について聞いている。「会計・税務システムの見直し」が163人でトップ。次いで「まだ具体的な準備をしていない」が続く。自由記述欄には「ERPのカスタマイズで対応」、「マスタ設定の変更」といった回答があった。
※株式会社ミロク情報サービス調べ
軽減税率への対応状況で、最も多かった回答は「何もしていない(35%)」。「進んでいる」との回答はわずか17%で2割にも満たなかった。自由回答の中には「軽減税率に対象となる領域はない模様」、「軽減税率に関連した商材はない」といった意見があった。
※株式会社ミロク情報サービス調べ
10月に消費税が10%引き上げられる予定だが、取引の実態や契約の実態を踏まえ、一定の取引について8%の税率を適用する「経過措置」が設けられている。この経過措置について内容をどの程度知っているかを質問し、「ある程度理解している」と答えた人が38%いた。一方で、「聞いたことがあるがよく分からない」、「全く知らない」を合わせると半数を超え、56%となった。
※株式会社ミロク情報サービス調べ
また、今回の消費増税では、特定の商品の税率を低く設定する「軽減税率」が導入される。この軽減税率導入による「区分記載請求書等保存方式」について、調査や対応計画が進んでいるかというと、そうではないようだ。「分からない」という回答が約半数を占め、「対応を検討していない」を合わせると70%以上となった。
※株式会社ミロク情報サービス調べ
回答企業が帳簿作成にどのようなITシステムをつかっているのだろうか。最も多かったのは「市販の業務用ソフトウェア」(210人)、次いで「独自開発のソフトウェア」(164人)となった。少数ではあるものの、「手書き」(18人)という回答もあった。
※株式会社ミロク情報サービス調べ
数ヵ月後に消費増税を控えている中、対応が進んでいない状況が浮き彫りになった。調査では会計システム担当者がこのことについてどう感じているのかも聞いている。最多回答は『不安に感じる』という人で44%にのぼった。これは企業会計についてシステムに依存する割合が高くなっていることの表れと考えられる。混乱を避け、制度の改正に柔軟に対応できる会計システムがますます求められていると言えそうだ。
※株式会社ミロク情報サービス調べ
本調査の回答者は情報システム関連職が多いとは言え、全般的に税制改正への対応について細かいところまでは理解が進んでいない状況が読み取れた。消費税アップに軽減税率、経過措置が加わった「複数税率」への対応では、システム面での対応とともに、システムに入力する前の書類の書き方、記述に関するチェックの仕方にも新しい作業が追加されると考えられる。一般の社員にとってはそれほど負担にならないとしても、経理担当者の負担は確実に重くなることが予想される。
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