「トヨタ自動車の賃上げ交渉 〜ベースアップゼロ結果〜」に関するアンケートの結果レポート 自社の「昇給に年功を反映している」8割、安定雇用とメリハリある評価のバランスに課題
「驚かない」が半数以上
「業績好調のなかでのトヨタ・ベースアップゼロの回答、あなたはどのように感じましたか?」と最初に質問しました。
結果は「あまり驚かなかった」40%、「ある程度驚いた」30%、「驚かなかった」22%、「かなり驚いた」8%となりました。日本型雇用システムの大きな特徴の一つであった年功型の昇給制度。日本の象徴的企業であるトヨタが「ベースアップゼロ」という指針に対し、回答者の約6割が「驚かない」という結果になりました。
ほとんどが「納得がいく」と理解を示す
次に、「トヨタでは年功型賃金が見直され、今後メリハリのある昇給制度が実行していくことが示されました。あなたはどのように感じますか?」と質問しました。
結果は「ある程度、納得できる」55%、「納得できる」33%、「納得できない」7%、「あまり納得できない」5%になりました。
「納得がいく」とする回答が全体の約9割近くにものぼり、成果・パフォーマンスが給与に反映されるというメリハリのある昇給制度に回答者のほとんどが理解を示しています。一方、10%強の「納得いかない」と回答者からは、成果主義へと傾倒する違和感や年功型賃金のメリットについてコメントが寄せられていました。
昇給規定に年功を「反映している」が8割と大勢
「貴社の昇給規定において、年功はどの程度反映されていますか?」と現状を質問しました。
結果は、「ある程度反映している」57%、「まったく反映していない」23%、「大いに反映している」20%となりました。この結果から「反映している」とする回答が約8割となります。
今回のトヨタ自動車のベアゼロ決定及びメリハリのある報酬制度への移行は今後、私たちの雇用や昇給に対して影響が出てくると想定できます。
最後に「年功序列をはじめとして、日本型雇用システムに大きな変化が訪れています。今後の見通しや所感などをご自由にお書きください。」とし、多数のコメントをいただきました。一部抜粋してご紹介します。
- 様々な労働形態が増える中で、質のいい働き手に対価を与えるのはいいことだと思う。長くいるだけでは「収入が増えなくなる」と思えば、個人のスキルをつかってどれだけ会社・地域貢献ができるかを考え行動する働き手のモチベーションになると思う。
- 賃金が上がることはいいことだと思うが、雇用の流動性を上げることも重要だと思う。
- いわゆる”働かないおじさん”を減らしたいのだと思うし、それはおおむね間違えてないと思う。
- 社会保障の仕組みなど政府の方針がいい加減ななかで、日本型雇用システムの変革をしても不安感を煽るだけだと思う。貧困差がハッキリしている海外に追従したいのだろうかと思う。
- グローバル化が進む中で年功序列など日本型雇用システムが変化すること自体は歓迎すべきだが、経営側が賃金を増やさないための文句として「改革」などの言葉で片づけられる懸念は強い。或いは形式的な横文字の肩書ばかりが増えて、実態は何も変わらないのではないか。(弊社もそうなってきている。
- 日本型年功序列や終身雇用の考え方の見直しはやむを得ないと思うが、成果主義などの弊害があることも事実です。社員が自らの将来を考えたときに、安心して働ける環境を残しつつ、現在の世相にも合わせた雇用体系を考えるべきだと思います。
- 変化についていけない人々にはきついと思う。また、そこまで若手に活躍の場が企業の中で用意されるのかは疑問
- 能力や成果をもとに賃金を定めるならば、査定制度の更なる透明化や転職がキャリアアップに繋がるような仕組みが必要と考える
- これからの経済環境下では、基本的には人材の流動化はもっと進むし、進んだ方がいい。しかし、その中にあっても、雇用の安定を維持した方が「企業にとっても、社員にとってもいい結果」をもたらすという点にも着目する必要がある。その観点から、使い方によっては、「終身雇用は今後も有用」と考えられる。終身雇用のいい面を残しながら、人材の流動化にも対応していくという一見矛盾した問題をいかにして止揚していくかが、今後の日本企業の生き残りと、更なる発展のために解決すべき問題となると考える。
- 年功制の良さもあり、ジョブ型へ急には変わらないと思える。
【調査概要】 アンケート名称:「トヨタ自動車の賃上げ交渉 〜ベースアップゼロ結果〜」に関するアンケート
調査主体:PRO-Q編集部(ProFuture株式会社)
調査期間:2020年3月23日~4月6日
調査媒体:アンケートメディア ビズPRO-Q/経営PRO-Q/人事・総務PRO-Q/財務・経理PRO-Q
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