株式会社ラーニングエージェンシーは2022年2月8日、「組織・チームのあり方の変化に関する意識調査」の中から、「一般社員（非管理職）に期待されること」に関する結果について発表した。この調査は2021年10月11日～12月13日に実施され、一般社員（非管理職）4,185人と管理職861人の計5,099人から回答を得たものとなる。調査では、10年前と現在を比較しながら、「一般社員の業務変化」と「組織の実態」を浮き彫りにしている。

過半数が「一般社員に期待されることが10年前と変化している」と実感

ビジネスを取りまく環境の変化により、組織やチームが目指す姿も変わってきている。そのような中、ビジネスパーソンの大半を占める一般社員への期待は、どのように変化しているのだろうか。

「10年前と現在を比較し、一般社員（非管理職）に期待されることが変わったと思うか」を同社が質問すると、「変わった」と答えたのは、全体の54.7％で半数以上となった。この結果を管理職・一般社員の区分で比較すると、その割合は管理職が71.5％で、一般社員が51.3％と、管理職のほうが20.2ポイント上回った。マネジメント側のほうが、より強く変化を実感しているようだ。

一般社員の業務は、「定型業務」から「プロジェクト型業務」へと変化している

次に、先述の質問で「変わった」と答えた人を対象に「10年前に一般社員に期待されていたこと」と「現在、一般社員に期待されていること」を尋ねて比較した。

10年前より期待値が増加した項目は、多かった順に「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する」で（＋51.5ポイント）、「チームで協力して成果を上げる」（＋44.1ポイント）、「周囲を巻き込みリーダーシップをとる」（＋42.9ポイント）となった。

一方で、10年前とより期待値が減少した項目は、「定型的な業務を確実に遂行する」（－43.1ポイント）、「上位層の方針や判断をこまめに確認し、行動する」（－15.3ポイント）、「個人として成果を上げる」（－12.5ポイント）となった。

これらの傾向をまとめると、一般社員に求めることが、「定型的に業務を遂行すること」から「非定型もしくはプロジェクト型の業務を遂行すること」に変化していることがうかがえ、業務自体も変わっていると考えられる。それに伴い、時には一般社員も自ら判断・行動することが期待されるようになってきているようだ。

一般社員に期待されることは変化しているが、実際に役割を担えている人は少ない

さらに同社は、「現在、一般社員に期待されていることと、実際に担っている役割」について質問し、ギャップを調べた。最も大きな開きが出たのは、「周囲を巻き込みリーダーシップをとる」の37.2ポイント差だった。以下、差が多かった順に「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する」（34.8ポイント差）、「自ら現場で判断し、行動する」（31.3ポイント差）、「チームで協力して成果を上げる」（23.4ポイント差）と続いた。これらの上位4項目は、現在、一般社員に期待されていることでも上位となっていたが、その役割を担えている一般社員は少ないという実態が浮き彫りになった。

一般社員に期待されることが変わった理由をどう見ているか？

同社は、「一般社員に期待されることが変わった理由」を尋ねている。全体では、1位が「状況の変化が速くなった」（57.2％）で、2位が「顧客やマーケットのニーズが多様化した」（42.6％）となった。

管理職と一般社員で最も回答割合に差があったのは、「チームメンバーの特性やレベル感が多様化した」という項目で、一般職が40.8％だったのに対し、管理職が45.5％と、管理職のほうが4.7ポイント上回った。

一般社員に求められるようになったスキルのトップは「タイムマネジメント」

最後に、「10年前と比べ一般社員に期待されることが変わった」とした回答者に、「期待されることのうち、特に重視されるようになってきたスキルや知識」を尋ねた。その結果、全体では「タイムマネジメント」が55.8％で最多となり、以降、「IT・デジタルに関するリテラシー」が54.2％、「言語化する力（相手に合わせた表現で伝える力）」が47.6％、「共感力」が32.3％で続いた。

組織の大半を構成する一般社員に期待されるのは、従来のような「定型業務で成果を出せること」から、「組織におけるプロジェクト型業務で成果を出せること」へと変わってきているようだ。また、期待が高まる一方で、実態と乖離もあることがわかった。社会の状況変化が速くなったことに合わせて、企業側もマネジメント手法を変化させる必要があるだろう。